カテゴリ:コール・オブ・ファレス( 1 )

ファレスの呼び声

「本格派西部劇FPS」(日本版のパッケージジャケットにそう書いてある)として2007年に登場したのが、この「コール・オブ・ファレス」で御座います。
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最近では西部劇のゲームと言えば「レッド・デッド・リデンプション」が全部の話題をかっさらってしまっていますが、それまでは西部劇ゲームと言えば…残念ながらこの「コール・オブ・ファレス」ではなく、PS2、Xboxで出た「レッド・デッド・リボルバー」だったような気がします。
ぶっちゃけて言うとこの「コール・オブ・ファレス」、個人的にはあまり面白くなかったのです。

「レッド・デッド・リボルバー」が難易度の高さの問題は別として一部の西部劇ファンに受けたというのは、おそらくはゲーム性云々よりも、「西部劇」(西部劇映画)を世界観に取り込み、そうした映画のパロディ、またはパクりを堂々とやっていたことにあるのだと思われます。
結局のところ、2000年代を生きる人間にとって、百年以上も前の西部劇の時代は映画などでしか見知る他はありません。
50年代から70年代にかけて大量に作られたウェスタン映画こそが現代人にとっての「西部劇」であり、例え史実がどうだったにせよ、映画のイメージの方がどうしても優ってしまうのです。
このあたりは第二次世界大戦を舞台にしているFPSゲームとは、明らかに違った点だと言えるでしょう。

そういう観点からすると、「コール・オブ・ファレス」は西部劇の時代の世界ではあるものの、いつかどこかで見たウェスタン映画の匂いがほとんどしないのです。
おそらく、「西部劇」っぽさすらあまりしないのではないでしょうか。

例えば、日本でもたくさんのファンがいるイタリア製の「マカロニウェスタン」の特徴はと言えば、強烈な強面の悪党にホコリと泥だらけの世界、廃墟や寂れた町、残酷な展開に突拍子もない武器と、インパクトのある世界が展開していくのがパブリックイメージであると思うのですが、「コール・オブ・ファレス」にはそうしたものはほとんど出てきません。
美麗なグラフィックによって描き出されるステージは自然の美しさばかりが目立ち、汚らしさよりむしろ綺麗さ、清涼感すら漂います。
何もマカロニウェスタンだけが西部劇ではないのですが、「レッド・デッド・リボルバー」がそうした映画の世界観を上手くゲームに取り入れ、見事に「西部劇」の世界を演出していたのに対し、「コール・オブ・ファレス」はそのあたりが上手くいっていないのです。
簡単に言ってしまうと、西部劇のイメージからは幾分かけ離れており、「西部劇にしては何もかも綺麗過ぎる」ように感じられるのですな。
私なんぞはむしろ、2000年に公開された「すべての美しい馬」というアメリカ映画を思い出してしまいました。
美しい映像で語られるこの映画の淡々としたイメージは、「コール・オブ・ファレス」と作品イメージが重なる部分が見受けられるように思えます。

おそらく、制作者は「西部劇」、特に「マカロニウェスタン」などは眼中にもなく、史実にある現実にあった世界の「西部開拓時代」をゲームで再現しようとした、ということであるのだと思います。
映画を取り入れた「レッド・デッド・リボルバー」との差異は、ここにあるのです。

ドラマ性を狙って凝った設定や人物関係などは取り入れているものの、それらは西部劇の要素というより人間ドラマ的な要素です。
宝探しなどは少々馬鹿馬鹿しい要素ですが、それはゲーム中でも上手く処理されているとは言い難く、クライマックスに向かって安易に「西部劇」の要素を取り入れていく展開(彼女が誘拐される等)もゲームとしては盛り上がりを見せるものの、どうしても安直さを感じずにはいられません。
取り入れている要素はすでに、手垢にまみれているものばかりなのです。

もちろん、「コール・オブ・ファレス」にも西部劇っぽい小道具やシチュエーション、舞台なども存在するのですが、それらは皆オーソドックスなものばかり。
主人公を2人にするというある意味斬新なシステムも導入しており、これはゲームとしてみるとそこそこの出来にはなっているのですが、「西部劇」という観点から見ると、やはりもうひとつインパクト・面白さに欠けてしまったように感じられます。
お約束のような「裏切り」の展開などもあるのですが、プレイヤーにはそれが最初からわかってしまうほど中身の薄いもので、西部の残酷さよりも一方の主人公である、冷酷なはずのレイのお人好しぶりが目立ってしまうという、皮肉な結果になっています。
また、西部劇のイメージどおりの撃ち合いを期待していたプレイヤーは、序盤から延々と続くもう一方の主人公のビリーの逃走劇に、ウンザリしてしまうのではないでしょうか。
せめてゲーム性が面白ければ良かったのですが、そちらの方もオーソドックスなものになっており、これまたこれといったインパクトがないまま、淡々とゲームが進んでいきます。
ストーリーの展開の仕方などはそこそこ良く出来ていて先を知りたくなるものがあるだけに、惜しいという感想だけが残ってしまいます。

「西部開拓時代」にドラマとストーリーを持ち込み、2人の主人公という独特のシステムでまとめ上げようとしたものの、ゲーム画面の印象そのままに、「綺麗にまとまり過ぎてしまった」感がありあり。
「コール・オブ・ファレス」が作り上げたものは、「西部劇」でもましてや「マカロニウェスタン」でもなく、「古き良きアメリカ」だったのかもしれません。
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by overkilling | 2010-10-17 14:40 | コール・オブ・ファレス