ベルベットアサシン感想

「ベルベットアサシン」の感想&四方山話です。
ネタバレ当然なので、クリアされた方向けの記事です。



 最終ステージの「灰色の世界―村」がシステム的にえらく評判悪いのですが、自分としては暗殺ではなく銃撃で進むシステムにはあまり抵抗がありませんでした。
 どっちかというとストーリーとか世界観、演出を感じるためのステージなのでしょうから、あのステージで暗殺していくことはあんまり意味がないようにも思えるので。
 ただ、半分は強引にサイレントキルしてみたりもしましたが(20/40まではいけました)。

 しかし、さすがにあの虐殺ステージの演出にはまいった。
 このミッションの目的は「村人を救う」だったのですが、救えてないどころか、それを逆手に取ってバイオレットの絶望を表現している。
 映像として見せなければ、子供でも殺していい、という方向性は不快感しか溜まりませんでした。
 で、このステージはプレイヤーにその不快感を味合わせることを目的で作られているわけで…。
 戦争の狂気を見せる、ってとこに主題が置かれていたのでしょうが、いまひとつ作り込まれていないゲームシステムも相俟って、ネット上での評価が悪いのも当然という気がします。

 エンディングではバイオレットが絶望のあまり泣き叫び、さらにトドメを刺すかのように暗殺したはずのカム中佐が半面を火傷で覆われた顔で現れるという救われない結末は、衝撃的ではあるのですが、当然ながらこれも不快感しか溜まらないのです。
 村への虐殺がバイオレットをかくまったことへの怨恨として行われているというのがチラリとわかるのですが(虐殺を行う特殊部隊については病院ステージでも話が聞ける)、その虐殺描写は音声のみという幾分ゲーム的な演出であるとはいえ、残念ながらゲームはここで終わってしまうので、プレイヤーにはどうしようもないモヤモヤ感が募ってしまいます。
 ある意味、続編を意識したエンディングだったのかもしれませんが…。

 ゲーム中、バイオレットは敵以外の生きている人間にほとんど会いません。
「第三の男―下水道」で、敵に連れ去られる工作員と、排水管でうずくまっている工作員に会うくらい。しかも、このどちらも、バイオレットが死をもたらします。

「灰色の世界―村」はさらに悲惨で、バイオレットが見るのは死体ばかり。
 声はすれども、それは処刑される村人の断末魔の声であり、生きている村人には一人も会わない。
 教会前での戦闘はさらに地獄で、この戦闘に打ち勝っても、結局村人は助からない。
 バイオレットを、というよりプレイヤーを待ち受けるエンディングは、絶望しかありません。

 おそらくゲームを始めたほとんどの人が、プレイ中にバイオレットの最後について気になっていたはず。
 ゲームのバイオレットの元になった、実在した人物であるバイオレットはナチに銃殺されているので、エンディングで絶望のあまり倒れてしまったゲームのバイオレットも、そのまま死んでしまったと解釈している人も多いようです。

 ただ、エンディングでは、バイオレットが実在のバイオレットのように銃殺されるシーンはないのです。

 エンドロールでは、病院(病院の敷地内にあった女神像?が映っている)から続く林の中を、スリップ姿で走っていくバイオレットの姿が流れます。
 そして、バイオレットが1機の飛行機(レシプロ機)を見つける場面で、映像は終わります。
 あとは延々黒バックにスタッフロールが流れるだけです。

 これが何を意味するのかと言えば、バイオレットがあの村の虐殺から生き延び、脱出するための飛行機を手に入れた、という意味としか思えないのです。
 バイオレットは飛行機を操縦出来るのか?とか、あの虐殺現場からどうやって生き延びたのか、というのはこの際あまり意味がないでしょう。
 カム中佐だって、あの爆発から生き延びていた。あれがありえるなら、バイオレットが倒れた後に再び覚醒して脱出したことだって十分ありえると思われます。
 そして、互いに死んだと思われていた二人が生きていた、とうのは、続編を多分に意識したものであるようにも思えるわけです。

 また、わざわざエンドロールにバイオレット生存の可能性を示す映像を入れた、という意図も、あの絶望的なエンディングだけではあまりに救いが無さすぎる、という判断からなのかもしれません。
 現実のバイオレットは非業の最期を遂げているため、ゲームのバイオレットも明らかに生きていた、という演出を避け、飛行機を見つけるというある意味イメージ的なシーンで、それを示している可能性もありえます。
 ナチスはバイオレットが死んだと見ているでしょうから、ナチスの間ではバイオレットは死んだ、ということにされている、という解釈も出来るわけです(カム中佐もバイオレットに暗殺された、とドイツ軍内で話題になっています。生きていたことが公表されているわけではないのです)。
 ゲーム内のバイオレットはあくまでゲームのキャラであり、実在したバイオレットはあくまでモデルになったにすぎない、と考えれば、銃殺されるシーンがないということだけでもバイオレット生存の可能性を示しているとしておかしくはないと思われます。

 ただ、残念なことに続編の可能性は極めて少ないようで。
「ベルベットアサシン」の制作会社がすでに解散してしまったためで、どこかのメーカーが引き継いで作らせるとか、チームの残党が新たなチームを作って…とか、そういう可能性があるかもしれませんが、内容的にもセールス面でも厳しいものがあるかもしれません。
 ついでに言えば制作したのはドイツの制作会社だったそうで、イギリスの女スパイがドイツ兵を暗殺しまくるというゲーム内容を考えると凄いものがありますが、なるほど、最後にナチスが勝ち誇るというエンディングはドイツの制作会社だったからあり得たことなのか?、と少々邪なことを疑いたくもなります。

 まぁ、パッケージ裏に「悲劇のストーリー」と書いてあるので、ハッピーエンドなぞ存在しないことはわかりきったことであったかもしれません。
 ネットなどで散見される感想では最終面やエンディングに関してのものが少ないので驚いてるんですが(大して売れもしなかったと思われるし…)、ゲームとしては相当な鬱エンディングなんじゃないかと思います。

 中盤あたりのゲーム性はそこそこ面白かったので、あの最終面が不快感だけでなくもうちょっと面白みのある内容だったら、ある意味カルト的な人気を得ていた可能性があったような気もするんですが…それゆえ、ゲーム性よりも悲惨な演出描写を重視したというのは、ゲームとしての完成度も含めてもうひとつ残念であった気がしてなりません。

何にしろ、このゲームをもう一回やろうという気に、あんまりなれませんからね…。
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by overkilling | 2009-10-29 19:37 | ベルベットアサシン